ここがポイント!アグリビジネス参入
耕作が放棄された水田の活用
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日本の農地面積と水田
農業は土地利用型の産業です。
土地を利用するビジネスにおいて重要なのは、現在だけでなく「未来ではどんな土地になるか」を予測することです。
日本国内の農地面積は、444万ha(4.4万㎢)です。
水田は 農地面積の56%=241万ha(2.4万㎢)を占めますが、
そのうち「実際に水稲を生産している水田」は 60%=147万ha(14.7㎢)にとどまります。
農作物が1年以上作付けされず当面作付け予定の無い土地、
すなわち「耕作放棄地」は 農地面積の9%=42万ha(4,200㎢)もあります。
これらが今後どのように推移していくのかを考えると、地域や業界の課題が見えてきます。
土地利用の未来予測に重要な3要素
アグリコネクトでは、農林水産省による農地面積の推移予測を基に、より精緻な予測を行っています。
農林水産省「令和元年度 食料・農業・農村白書」をもとに試算・作成 https://www.maff.go.jp/j/tokei/kekka_gaiyou/sakumotu/menseki/r2/kouti/index.html(2020/07/15)
農林水産省の予測では、「高齢化」「米離れ」「反収増加」の3要素が加味されていません。
人口減少・高齢化の進行で、国民全体が必要とするカロリーは急激に減少しています。
2040年まで、年率0.6%ずつ減少していくことが見込まれます。
また、昨今のオートミールの大ブームからも分かる通り、主食に米以外を選択する機会が増加しています。
国内全体の必要カロリーに占める米の割合は、年率で1.4%ずつ減少していくことが見込まれます。
加えて、直近20年はそれ以前の20年と比較し、
反収(一反≒10a≒100㎡当たりの収穫高)が年率0.27%ずつ増加しています。
同量の米を生産するために必要な水田面積が、年々小さくなっているのです。
これは、品種開発を含む近年の水稲生産技術向上によるものです。
これらを加味すると、2018年の147万ha(1.2万㎢)から、
2040年には97万ha(9,700㎢)にまで縮小すると予測されます。
縮小面積は50万ha(5,000㎢)、
実に『東京ディズニーリゾート』2,500個分 もの水田が不要になってしまうのです。
これは、既存の耕作放棄地を大きく上回る面積でもあります。
未来予測から見出すビジネスチャンス
拡大する耕作放棄地では、従来行えなかった取り組みができます。
例えば、
●現在輸入に頼っている品目の国産化に向けた開発
●健康増進に繋がる機能性野菜の開発
●自治体とタッグを組んでの産地振興ビジネス
●マーケットに合わせて設計した農場の開発・区画整備
●新しい農業技術イノベーションのための実証試験場
等、思い切った動きをすることができます。
コメント
これらのビジネスに対応すべく、
重機・農機を使わずに水田を畑に転換できる新技術も生まれ始めています。
拡大する未利用農地の有効活用に、地域と共に取り組むことで、希望ある未来を創造することができるのです。