ポストインスタカートとは
時間に余裕のある人や、車や自転車などの遊休資産を持っている人が、
買い出しが困難な人や時間に余裕が無い人に農作物を届けます
TechCrunch「買い物代行サービスのInstacartが283億円を調達、評価額は5カ月で2倍以上の4兆円超に」https://jp.techcrunch.com/2021/03/03/2021-03-02-instacart-raises-265m-at-a-39b-valuation/(2021/03/03)
Table of Contents
日本の農作物流通の変化
1970年代後半(昭和50年代)から2010年代(平成20年代)にかけて、日本の農作物の流通構造は大きく変化しました。
1970年代には、卸売市場を経由したものが86%を占めていましたが、
2010年代には60%にまで下がり、今後も下がることが予想されています。
卸売市場とは?
全国から、青果物(野菜、果物)、水産物、肉、花を集荷・分荷し、公に取引する場を指します。
取引は「セリ」と呼ばれるオークション形式で行われ、卸売市場で働く「セリ人」が担当します。
セリには、八百屋・スーパーなどの小売業者、レストランなどの外食事業者が直接参加する場合もありますが、
卸売市場で仕入れた商品を加工して再販売する「仲卸業者」が多く参加します。
卸売市場を経由する割合が下がっている理由は?
情報通信技術が、物流業界の人手不足の深刻化問題、
健康・安全に寄り始めた消費者ニーズを汲む形で、販売チャネルを拡充させていったためです。
産直取引、契約栽培、直売所、ネット通販など、多様な販売チャネルが登場し、
国内外で新たな流通モデルが生まれています。
米国の農作物流通
ターミナル・マーケット とは?
米国には、元々日本のような卸売市場がありません。
日本でいうところの仲卸業者が店を並べる「ターミナル・マーケット」という市場は存在しますが、
「セリ」や「セリ人」のような卸売業者はいません。
「ターミナル・マーケット」を経由するものはわずか1~2割程度で、農家が小売業者や外食事業者への直接販売が大勢を占めます。
農家は冷蔵施設なども完備し、出荷調整も自らハンドリングしてきました。
台頭する 「個人事業主委託モデル」
2010年代に入り“打倒Amazon”とも言われる「食料品即日配達サービス」が登場しました。
サービスによって配送対象や提携先に違いはあるものの、
一般人を利用したシェアリングエコノミーによるオンデマンド型配送サービスが、年々勢いを増しています。
『UberEATS』は2014年にサンフランシスコで設立されましたが、
時と場所を同じくして設立されたサービスが他にもあります。
insta cart | Postmates | Door dash | |
---|---|---|---|
設立 | 2012年 | 2011年 | 2013年 |
所在地 | アメリカ サンフランシスコ | アメリカ サンフランシスコ | アメリカ サンフランシスコ |
事業概要 | オンデマンド型食料品買い物代行サービス | オンデマンド型配送サービス | オンデマンド型フードデリバリサービス |
エリア | 全米主要都市:網羅的にカバー | 全米3500都市/メキシコ | 全米3300都市/カナダ |
提携 | 2万2千の地域に根ざしたスーパーと提携 | レストラン、オフィス用品、携帯電話、日用品等、多様なローカル店舗の配達を請け負う | ● レストランのデリバリがメイン ● Walmartなど、レストラン以外の分野とも提携、日用品分野へ進出 |
時間/料金 | ● 1時間以内~即日 ● $5.99~/回 ● サブスクリプション:年間$149 | l基本1時間以内、$3.99~/回 lサブスクリプション:月額$9.99 | ● 基本1時間以内 ● $4~5/回 ● サブスクリプション:月額9.99 |
特徴 | ● 生鮮食品系に強み ● コストコ等、低価格帯スーパーも取り扱う | ● 地域のオーガニックスーパー等に強み ● Postmates Party:近隣住民の買い物おまとめサービス ● 近隣住民の注文している店舗を閲覧でき、Partyに参加することで一緒に注文可 ● Partyに参加した注文者は配達料無料 | ● ラストマイル配送に強み:人間の労働力を安価に提供 ● 顧客行動に関するデータをレストラン側に提供:時間帯、地域毎の注文状況、最適宅配時間等 ● 都市部の高級レストランに注力 |
生鮮食品の宅配に最も注力しているのは2012年設立の『instacart』です。
ホールフーズ、セーフウェイ、コストコ、フレッシュ&イージー、ターゲット・コーポレーションなど17の大手スーパーチェーンと提携し、爆発的な成長を遂げました。
提携関係がない店舗の場合、一般の消費者と同様、レジに並び購入し配達する完全代行するメニューもあるなど、個々のニーズを捉える仕掛けも豊富に揃えています。
中でも、オリジナルのマッチングアルゴリズムを持っている点は、大きなサービス優位性といえます。
購入者が自分で買い物した場合と同じ満足度が得られるよう、代行者側のアプリに自動的に指示が表示される仕組みになっています。
コメント
コロナ需要も功を奏し、instacartの評価額は4兆円を超えました。
2020年時点では約1.9兆(177億ドル)、2021年には2倍以上の約4.2兆(390億ドル)に伸長し、
コロナ後も「配送による買い物がニューノーマルになる」とみられています。
TechCrunch「買い物代行サービスのInstacartが283億円を調達、評価額は5カ月で2倍以上の4兆円超に」https://jp.techcrunch.com/2021/03/03/2021-03-02-instacart-raises-265m-at-a-39b-valuation/(2021/03/03)
参考
instacart「instacart」https://www.instacart.com/(2022/02/01時点)
Postmates「Postmates」https://postmates.com/(2022/02/01時点)
doordash「doordash」https://www.doordash.com/(2022/02/01時点)