市民農園とは
都心や市街地のオフィス住宅でも
多くの人たちが農業の魅力楽しさに触れるために植物の生育を楽しみます

iStock/schulzie「In Reih und Glied stehen Zier- und Nutzpflanzen in ihren Beeten」
目次
市民農園の種類
農家でない方々が小さな面積の農地を利用して、自家用の野菜や花を栽培する農園を指します。
市民農園には、実際に農地を借りる「貸し農園」と、その場限りの農業体験をする「体験農園」が含まれますが、
貸し農園の意で用いられることが多くあります。
「レンタルファーム」「シェア畑」「マイファーム」といった単語は、貸し農園に含まれます。
ヨーロッパ諸国では、古くから貸し農園が盛んで、中でもドイツでは200年以上前に協会が設立された歴史があります。
市民農園には種類がある?
日本では、レジャーとして利用が多く「個人・家族単位」での利用に留まります。
一方、欧米では、コミュニティ創出の場として機能しており「ライフスタイルの一部」になっています。
日本の市民農園は「短期型」と「滞在型」に分けられます。
短期型は、個人で利用するための貸農園が大多数で、地域交流の場になっている農園は多くありません。
滞在型は、別荘機能を持った農園で、移住政策の一環でもあります。
短期型よりも交流の場になりやすい特徴があります。
市民農園には種類がある?
2019年時点で、日本の市民農園に使われている面積は1,296万㎡(東京ドーム277個分)です。
貸し出している区画は、1区画当たり平均70㎡(42畳)ほどです。
年度 |
2015 |
2016 |
2017 |
2018 |
2019 |
|
農園数 |
4,223 |
4,223 |
4,165 |
4,147 |
4,169 |
|
区画数 |
189,895 |
188,158 |
183,826 |
182,567 |
185,353 |
|
面積 |
ha |
1,381 |
1,371 |
1,312 |
1,300 |
1,296 |
㎡ |
13,810,000 |
13,710,000 |
13,120,000 |
13,000,000 |
12,960,000 |
|
坪 |
4,177,525 |
4,147,275 |
3,968,800 |
3,932,500 |
3,920,400 |
|
1農園当たり 平均 |
a |
33 |
32 |
32 |
31 |
31 |
㎡ |
3,270 |
3,247 |
3,150 |
3,135 |
3,109 |
|
坪 |
989 |
982 |
953 |
948 |
940 |
|
1区画当たり 平均 |
㎡ |
73 |
73 |
71 |
71 |
70 |
坪 |
22 |
22 |
22 |
22 |
21 |
農林水産省「市民農園の状況」https://www.maff.go.jp/j/nousin/kouryu/tosi_nougyo/s_joukyou.html(2021/10/01)をもとに作成
市民農園は誰が運営している?
農園を開設している事業体は4,169あり、そのうちの52%を地方公共団体が占めます。
年度 |
2015 |
2016 |
2017 |
2018 |
2019 |
農園数 |
4,223 |
4,223 |
4,165 |
4,147 |
4,169 |
地方公共団体 |
2,321 |
2,260 |
2,208 |
2,197 |
2,153 |
農業協同組合 |
511 |
526 |
491 |
474 |
478 |
農業者 |
1,078 |
1,108 |
1,148 |
1,162 |
1,188 |
企業・NPO等 |
313 |
329 |
318 |
314 |
350 |
年度 |
2015 |
2016 |
2017 |
2018 |
2019 |
地方公共団体 |
55% |
54% |
53% |
53% |
52% |
農業協同組合 |
12% |
12% |
12% |
11% |
11% |
農業者 |
26% |
26% |
28% |
28% |
28% |
企業・NPO等 |
7% |
8% |
8% |
8% |
8% |
農林水産省「市民農園の状況」https://www.maff.go.jp/j/nousin/kouryu/tosi_nougyo/s_joukyou.html(2021/10/01)をもとに作成
諸外国の市民農園
海外には、日本の市民農園とは異なる特色を持った市民農園の歴史が存在します。
ロシアでは第二次世界大戦後の食糧難からの脱却手段として、
ドイツでは18世紀後半の産業革命で荒廃した都市と人々の心身を回復させるための手段として、独自の発展を遂げてきました。
ロシアの市民農園|ダーチャ
「ダーチャ」は、ロシア語の動詞「Дарч/ダーチ=与える」を語源とする市民農園です。
ダーチャは避暑地にあり、主に夏の間利用されることから、日本の滞在型市民農園に近いと思われがちですが、似て非なるものです。
ダーチャはロシア人の8割が所有していて、ロシアの農業生産額に占める割合は49.6%*にものぼります。
ジャガイモは89.2%、野菜78.9%、牛乳52.0%、肉類45.5%を占めます。
*清水徹朗 『ロシア・ウクライナの農業・食料』 (2010/03)
ジャガイモを主食とするロシアでは、1人当たり1年間に89kgを消費しますが、
ダーチャ1区画600㎡当たりでは240kgものジャガイモの他、様々な作物を収穫できるため、
核家族であればほぼ1年分を賄えることがわかります。
また、コロナ禍の厳しい外出制限下でも、ダーチャへの外出は「不要不急」に当たらないとして公認されており、
いかに重要な存在であるかをうかがい知ることができます。
ドイツの市民農園|クラインガルデン
「クラインガルデン」は、ドイツ語の「Kleingarten=小さな庭」を語源とする市民農園です。
自宅から徒歩15分程度の場所で借りることが多いため、住宅地や線路脇などで1区画300㎡ほどが平均です。
ロシアのように自給自足の色はあまりなく、野菜や花を育てたり、
芝生や樹木を植えたりすることで得られる「憩い・癒し・交流」を主眼に置いています。
子供の遊び場や緑地化といった目的から制度化が進んだ背景があり、花壇や芝生の庭としても利用されることも多いのが特徴です。
日本においては、単に “簡易宿泊施設が併設された市民農園” や
“滞在型市民農園” を指す言葉として「クラインガルデン」が用いられることもあります。
コメント

一口に「市民農園」と言っても、ターゲットも提供価値も様々です。
アグリコネクト株式会社作成