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Home  >  人を知る  >  メンバーインタビュー コンサルティング事業部 コンサルタントリーダー 成相陽平

経営者が先々を見据えて決断するために、自分に何ができるか

ー農業の経営コンサルタントとして、現在どのような仕事をしていますか?

成相:主に3つの事業に携わっています。

1つ目は、農業経営者・生産者への支援事業です。主に都道府県から農業経営塾の企画・運営業務を受託し、地域の農業を牽引する農業経営者の育成を行っています。

2つ目は、地域活性化・農山村再生支援事業です。人口減少や高齢化は、担い手不足や空き農地の増加など農業に関わる地域課題を引き起こしています。市町村などの自治体や地域住民と一体となって、課題解決に取り組んでいます。

3つ目は、農家・農業法人向けコンサルティング事業です。企業的経営を進める農業法人では、人材採用や育成・財務基盤の強化・生産販売体制の見直しなど経営課題が山積しています。今後の事業計画を策定し、経営者とともに経営課題の解決と計画達成に向けた道筋を定めています。

ー仕事を通してやりがいや喜びを感じたことは何ですか?

成相:経営支援している農業法人に初の新入社員が入社し、さっそく活躍していることです。

今後の規模拡大に向けて、生産現場で人手が足りないのは明らかでした。 一方で、規模拡大では農地の集積や機械・設備の投資などコストがかさむので短期的には経営を圧迫します。

農業では規模拡大=効率的と捉える人がいますが、そうではないんですね。だからこそ、経営者が先々を見据えて人材を採用すべきか決断できる状態を目指しました。

具体的には、中長期的な売上目標・生産効率・減価償却費の見通し・採用した場合の組織体制・人事制度の整備などを行なったことで、経営者自身が「2名採用すべきだ」という結論に至りました。

ー人材の採用活動にも携わったんですか?

成相:はい、この農業法人には優秀な人事担当者がいて、就農イベントへの出展準備や出展後の応募者フォローなどを一緒になって進めました。

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農業法人の経営者
農業専門の経営コンサルタント
「農業の発展を目指す」志は同じ

ー農業法人への経営支援は、どういった経緯でスタートしましたか?

成相:前述の農業法人経営者は、私たちに初めて出会ったとき「土を触ってない人間に何ができるんだ。何がわかるんだ」と思ったそうです。

しかし、視察や会合などで当社の取り組みや考えを伝えたり、農業法人の経営状況やビジョンを伺ったりしているうちに、経営支援へと結びつきました。加工品開発・販売先の開拓・事業計画に連動した栽培計画の立案・生産性の分析・改善など、経営支援で行うことは農業法人の経営課題に合わせて多岐にわたります。農業法人の経営課題に向き合うなかで農業への関わり方は異なりますが、「農業の発展を目指す」という志は農家さんと同じだなと感じます。

自分と関わった塾生が成長していく喜びとやりがい

ー次に、農業経営者の育成について、具体的な仕事の中身を教えてください。

成相:自治体から受託し、全10回のカリキュラムを20名ほどの塾生に対して半年かけて実施します。自治体により名称が異なりますが、大半は「農業経営塾」という名称で開催されています。

私は農業経営塾のカリキュラムを設計したり、講義を行ったりしています。農業経営塾のゴールは、参加塾生自身が中長期的なビジョン・目標を定め、事業計画の策定と発表を行うことです。

ー事業計画の策定や発表まで行うのですか?

成相:はい。開講式の際に塾生にゴールを伝えるのですが、最初は塾生全員が困惑しています。

しかし、自ら農業経営塾に参加申込みをした塾生の気持ちや、生産現場を社員や家族に任せて塾で勉強する時間を割いている状況を大事にしたいので、私は塾を通じて成果・価値を塾生に提供しようと決めています。

ー作成に向けては、どういったサポートをしていますか?

成相:一番の価値は、卒塾後に実際に使える事業計画を作成することであると思っています。塾生が作成した事業計画案に対して何度もアドバイスを送り、塾生自身の言葉で語れる事業計画の作成につなげています。

先日、研修会があり、卒塾生に自身が作成した事業計画を発表してもらいました。開講式ではかなり困惑していた塾生が堂々と発表している姿を見て、本当に驚きました。

ー作成した事業計画は、現場でどのように活用されているのですか?

成相:塾生は社内で共有して今期の事業計画として進めていたり、金融機関などに事業計画をもとに融資の打診をしたりしています。農業経営塾をきっかけに将来を見据えて行動を起こしている姿を見ると、私も刺激を受けますし、やりがいを感じます。

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事業が急拡大し、社員が増える中で
これまでは応えることができなかったクライアントニーズにも対応していく。

ー仕事を通して大変だったことはなんですか?

成相:入社当初は、経営コンサルティングの経験もなく、異業種から農業に飛び込んだので、クライアントのために何ができるかを日々模索していました。

今は入社当初と違いますが、相変わらず大変です。入社後に色々なプロジェクトを経験していますが、クライアントによって課題は異なるので、解決策もパッケージ化されたものではなく、個々に対応していきます。何が相手にとって最適かをとことん考えて価値を出すからこそやりがいも感じますが、難しさも感じています。

ー今後のビジョンはありますか?

成相:この先10年で国内の農家数は減少しますが、農業生産数は減りません。つまり規模拡大や地域維持を目指す事業農家が日本の農業を支えています。そういった人たちをサポートしたいです。

ー実現するための課題はありますか?

成相:アグリコネクトは創業10年、法人化して6年になります。私がちょうど社歴では中間にあたるのですが、それでも入社2年目です。

事業として急拡大しているなかで、過去から蓄積してきた社内リソースを活用しきれていませんし、社内リソースに頼ってばかりでもだめです。社員が増えた分これまで関われていなかった事業やネットワークなども積み上げていかなければいけないと思うんです。

全メンバーが本質課題に向き合う
利害関係のないフラットな職場

ー働く環境やメンバーに対してはどう思いますか?

成相:今まで何社か経験してきましたが、人間関係のストレスが少ないですね。アグリコネクトは理念経営を行っているので、価値観を共有しやすいし、コミュニケーションが円滑に取れるのはありがたいです。また、いい意味で年齢差を感じず、新卒・中途、社歴、農業経験などといったバックグラウンドに関係なく意見を言い合えます。

「日本の農業を産業化させる」という目標は全社員同じですし、会社としても常に本質的な課題に向き合っているので、表面的な利害関係で仕事をしなくてすみます。

ー地域活性化・農山村再生支援事業について、仕事内容を教えてください。

成相:全国には1741の市町村があり、農業が産業の主軸になっている地域が多いので、意見やアドバイスを求められることもありますし、自治体から事業を受託する機会も増えています。ただし、地域課題はそれぞれ異なるので、地域の強みや弱み・課題を把握した上で、自治体・地域ごとに解決策を考え実行しています。

例えば、ある自治体では農家人口の高齢化により、今後の地域農業を担う若手人材の確保が課題でした。地域はピーマンの産地であったため、ピーマンでの独立新規就農者育成に向けた環境整備を自治体や農協、農家などと実施しました。実施した結果はというと、昨年は募集初年度で町の独立新規就農希望者目標3名に対して、5名の応募が集まりました。

ーアグリコネクトが目指す地域活性を教えてください。

成相:我々は「地域経営」という視点を大事にしています。東京に事業を置く我々が仕事を受けると、地域外への支出が発生します。

自治体や地域住民が中心になって、地域外からの収入を増やし、地域外への支出を減らす「黒字経営」をできることが理想です。最終的には地域が自走できる仕組みづくりを我々は支援していきます。

ー最後に、コンサルタントとして大事にしていることはなんですか?

成相:「経営や事業がどうあるべきか」「起こりうる課題は何か」「課題解決に向けて、何を・誰が・いつまでに・どのように取り組むか」を決めて動くことを意識しています。

そのためには、相手を知ることや必要情報を調べることが重要になります。「自分が経営者だったら」「自分が首長だったら」を自問自答するようにしていますが、そのスタンスで考え出すと見る視点も考え方も変わるんですよ。

一般的な経営コンサルタントは、外部からクライアントへのアドバイスや分析、調査結果を報告することが仕事のように言われることがあります。アグリコネクトはクライアントの価値につながることであれば、分析や報告だけで終わらずに、実務者としてクライアントに入り込んで仕事に携わることもあります。これがおもしろいし、やりがいです。

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プロフィール:明治大学卒業後、外資系生命保険会社にてBtoBの営業とマーケティングを担当。BtoCの営業・販売と人事管理の領域に携わりたいという思いを強く持ち、大手アパレル企業に転職。店舗の人材マネジメントと経営に従事後、計画立案力とコミュニケーション能力を評価され本部の販売責任者として店舗責任者・デザイナーや工場責任者との連携が必要なマーチャンダイザーを担当する。その後、培った経験を活かして教育系ベンチャーにて、事業責任者として事業の立ち上げと黒字化を実現する。アグリコネクト(株)は、事業の立ち上げや改善など、実践的な支援を行なっていることに共感し参画。大手企業のアグリビジネス参入コンサルティングや、大規模農業法人の経営コンサルティング、自治体の新事業策定や地域活性化プロジェクトの推進などに従事。分析だけではなく、クライアントと課題解決に向けてPDCAを回しながら農業の発展に関わっていけることが、仕事で醍醐味を感じるところ。『出会いを大切にする』『迷った時はチャレンジする』がモットー。