育成
9月 2, 2020
オンラインセミナー『100農業法人いれば100通りの農業/サイボウズチームワーク総研 中村龍太様』実施しました!

当社では若手農業経営者向けの経営研究会やセミナーを開催しています。今回、その一環として、オンラインセミナーにて、サイボウズチームワーク総研の中村龍太様に、「100農業法人いれば100通りの農業~「キントーン」とサイボウズ流チームワークによる働き方改革~」と題する講演をしていただきました。

成長志向の強い若手農業経営者にとって、チームワークや人材育成は最大の関心事。90分という短い時間でしたが、チームワークの基本的な考え方から具体的なツールまで非常に濃い内容をお話しいただきました。また、質疑応答では、一つひとつの疑問に対して多くの事例や手法を紹介しつつ、丁寧にお答えいただきました。

ここでは、参加者にとってとくに深い学びとなったところを中心に、ダイジェストで紹介いたします。

理念「2020」

冒頭で、サイボウズ自身の組織づくりについてお話しいただきました。まず印象的だったのは、「企業理念2020」という表現。企業理念というと、組織の根幹にあるものとしてなかなか変わり難いもの(というイメージ)ですが、サイボウズでは毎年企業理念を練り直すとのこと。それもトップダウンではなく、従業員の想いが反映されるような仕方で考えることも。あるときは、社員がカレンダーに書きつけていた一文を社長が気に入って、全社に紹介したことから理念がつくられていったこともあるとの逸話も披露いただきました。

講演全体を通して「サイボウズのチームワークの源泉は、多様な人を受け入れたり、環境の変化に対応したりといった柔軟性にあるのでは」という印象を受けましたが、とくに理念に対する考え方にもこうした柔軟性の一端を感じました。

チームワークの土台となる風土

チームワークに関する講演の部分では、まずチームとは何かを考えました。参加者からの意見として「目的をもっているか」「自発的に集まったか」といったものが出て、それを整理する形で龍太さん(自己紹介にてこのように呼ばれているとご紹介いただきましたので、踏襲させていただきます)から「理想の共有」「メンバーの役割」「協働」というキーワードを解説いただきました。

講演では、これらの要素について様々なポイントを語っていただきました。とくに参加者にとって印象的だったのは「風土」の考え方です。先述の通り理念が柔軟なものである一方で、風土には徹底的にこだわっているとのこと。サイボウズの風土とは、「理想への共感」「多様な個性を重視」「公明正大」「自立と議論」の4つ。

参加者からの反応が一番大きかったのは、「自立と議論」の前提となる「質問責任」という考え方でした。よくあるのは、仕事帰りに飲み屋で愚痴を語り合うような場面。これでは解決につながりません。サイボウズが組織の課題を解決し、チームワークを高めていくために、「担当者はリーダーに質問をしなければならない」という「質問責任」を求めているそうです。

この「質問責任」は、「説明責任」を前提としているようです。説明責任は一般的な言葉でしたが、サイボウズではここも徹底していると感じました。リーダーが答えられなければ、担当者はリーダーの一つ上の上司に質問できるし、その上司は答えなければならない。その上司も答えられなければ、最終的には、社長に質問し、社長が答えなければならない。

このように個々の担当者が分からないこと・課題をしっかりと表明し、社長も巻き込んで議論していくのが、「自立と議論」という風土だと理解しました。参加者からは、「自社では、いろいろな仕事を従業員に任せたいと思っているのだが、うまくいっていない。分からないことは『質問してよい・質問しなければならない』という雰囲気が社内に作れていないのだと思った」といった感想がありました。組織の成長のため、大きなヒントを得られたようでした。

事実と解釈を区別する

講演の最後には、「問題解決フレームワーク」を紹介いただきました。ここで詳細を説明するよりは実際に講演をお聞きいただいたほうがよいので内容は割愛しますが、本講演に対する感想の中でもっとも反響が大きかったのは、ここで語られた「解釈と事実を区別する」というポイントでした。

参加者の一人は、講演後、「『人は一人ひとり異なる』ということは当たり前のようでいて、普段は意識できていないと感じた。チームを作るためには、『相手がどのような事実をもとにそのように考えるのか』をしっかり考えなくてはいけないし、自分も含めて、事実をしっかり伝えるコミュニケーションが大事だと感じた」と語っていました。

今回は短時間のセミナーだったため、問題解決フレームワークの前半部分を駆け足で解説いただくにとどりました。そこからだけでも得られるものが大きかっただけに、「もっとワークショップを実践的に体験してみたかった」という反応が寄せられました。ぜひ、次の機会には、このフレームワーク全体を習得したいところです。

「報酬」はお金だけじゃない!

講演後の質疑応答では、人事制度や評価制度といった具体的・実践的な事項についての質問が多く出され、一つひとつに丁寧に回答いただきました。

その中でもとくに新鮮だったのが、「報酬」の考え方。報酬と聞くと金銭的なものをイメージしがちですが、組織に属していると実はお金以外の様々な報酬を受けています。そして、何を報酬と思うかは、その人次第。ある人にとっては「16時で退社できること」が報酬となるし、またある人にとっては「出張で様々な土地に行けること」が報酬になる。

サイボウズでは、上司は人が一人ひとり異なるということをしっかりと意識し、一人ひとりと「報酬」について話し合うそうです。すると部下は、サイボウズから得られている給与以外の報酬を認識し、サイボウズにいるべきかどうかを、複数の物差しで測ることができるようになる。

具体的には、龍太さんはまず自身にとっての「報酬」を部下に伝えているそうです。それに応じて、部下も自分の価値観、自分にとって大事な「報酬」を伝えます。このプロセスは非常に印象的で、参加者の一人は「給与以外の報酬ということは考えたことがなかった。従業員がどのような想いで働き、どのようなことにやりがいを感じているのかを知るために、ぜひ、みなにとっての報酬が何なのか、一人ひとり聞いてみようと思う」との感想を語っていました。

今回の講演は、組織をより強くしていこうとする参加者にとって、チームワークを育むための具体的な手段を提供していただける、大きな学びの機会となりました。オンラインでのセミナーだったため、演習などはやはり「リアルな場で受けたい」という思いもありましたが、画面共有にて情報共有や相互コミュニケーションが柔軟にできたことはオンラインならではのメリットでした。

龍太さん、貴重な学びの機会をありがとうございました!