AGRICONNECT Co.,Ltd.

千葉市農政センターリニューアル

2022年10月03日官公庁・自治体向け事例

クライアント情報

千葉市経済農政局農政部

ご担当者様

千葉市経済農政局農政部 農政センター農業生産振興課
課長 森田 悟 様
主査 佐々木 教子 様


事業内容

昭和53年5月に開所。千葉市の農業の成長産業化を支援する拠点として、効率的で安定的な農業経営を推進する。具体的には農業者が直面する病害虫や生育不良などの課題を解決するための指導など。242,287平方メートルの敷地内には、栽培試験を行うほ場や管理・研修施設などがあり、近年は省力化や効率化に資するスマート農業の実証実験も行う。農業者に対しては、営農指導、優良種苗の供給、新規就農希望者研修/新規就農アドバンス研修、土壌診断などの事業も行っている。


施設の老朽化とソフト面でのアップデートのためのリニューアル。

森田 様:今回のリニューアルのきっかけは、まず農政センター内の施設が老朽化していること。敷地内にはガラスハウスや管理事務所、直売所などがあるのですが、特にガラスハウスが古くなってしまっているのでリニューアルの計画に含めました。また、農業技師が20年近く採用されなかったため、農家から農業技師の支援の低下が指摘されていました。そのため、ソフト面での機能強化もリニューアルの大事な肝と考え、プロポーザルの企画提案によりアグリコネクト株式会社(以下、アグリコネクト)に依頼することにしました。

佐々木 様:2016年に、千葉市で育てた農産物の地産地消を推進する「千葉市つくたべ」というプロジェクトの取り組みを始めました。当初、別の企業にコンサルティングを委託したのですが、パートナーとしてアグリコネクトさんと仕事をしたことが最初です。
その際もアグリコネクトさんは農業に幅広い知識があり、大変意欲的にご尽力いただきました。つくたべプロジェクトでの経験から、今回のリニューアルプラン計画でも民間企業の力を借りたいという話が出まして、プロポーザルでのご提案をいただき、過去の業績や企画提案の内容もふまえ、アグリコネクトさんにお願いしようと決定しました。

参考:千葉市農産物の地産地消プロジェクト 千葉市つくたべ
https://www.chibacity-tsukutabe.com/


Mission・Vision・Valueというリニューアルプランを策定。

佐々木 様:リニューアルには3つの方向性がありました。
1つめはスマート農業を実証するためのフィールド化、2つめは栽培試験・研修の強化。農政センターがもつ広い農場を活かして、これからの農業に必要な技術を研修していきましょうということです。それから3つめとしてスマート農業技術の普及やデータ活用ができる技師の育成をあげています。
リニューアルプランの策定を具体化する際に、まずは農政センターが目指す役割を考える上で、「ミッション・ビジョン・バリュー」を考えたほうがいいとアグリコネクトさんからご提案いただきました。

森田 様:3つの方向性に関しては、自分たちで素案を検討していましたが、アグリコネクトさんに関連事項を調査していただいて、より確実なものになったと感じています。
現在、スマート農業の技術を活用できるイチゴハウスを建てています。環境をモニタリングし、ハウスの中の状況を数値で把握し、そのデータに基づいて環境を制御する「統合環境制御」のハウスです。
このイチゴハウスは、燃油削減技術の実証実験にもなります。いま農家の方は、冬場に重油を焚いてハウスを暖めるのですが、「みどりの食料システム戦略」に掲げる農林水産業のゼロエミッション化、化石燃料を使用しない施設への移行などの目標を達成することも今回のリニューアルの大きな目玉の1つとなっています。
今の農政センターの施設で令和6年を目途に燃料を40%削減しようという目標を掲げています。本市では生産の盛んなイチゴ栽培において、ヒートポンプの活用した電化による燃料削減実証を実施し、燃料削減のための栽培マニュアルを作り、農家の方に普及を図ることを計画しています。

佐々木 様:アグリコネクトさんから、世界の事例を通した視点でご提案いただいたときに、すごくはっとしましたね。狭いところしか見えていなかったものですから。
自分たちが何をしなければいけないのか、何を目指すべきなのかというところを考えるきっかけになりました。リニューアルプランがカーボンニュートラルやSDGsなどへつながったのも、その辺りの世界の潮流から見た役割というのをご提案いただいたところからスタートしたのかなと思っています。


何度も繰り返したディスカッションやワークショップ。

森田 様:リニューアルプラン策定の工程で貴重な体験だったのはワークショップですね。もともとファシリテーションとかワークショップが大好きだったもので、ミッション・ビジョン・バリューなども自分たちでやればいいのではと思っていたのですが、せっかくなので業務を委託したアグリコネクトさんにファシリテーターをお願いすることにしました。
ワークショップの中でいちばん印象に残っているのは、メモリアルワークです。農業技師が今まで経験した思いなどを話し合う場面があり、そこで技師同士の距離がぐっと近づいた気がしました。

佐々木 様:2022年1月に行ったセンター全体のコンセプトディスカッションもよかったですね。国内のさまざまな最先端事例を紹介していただき、大きく視点が変わりました。

森田 様:市役所は、今まで企業に業務を委託するというと、全てを委託先企業に任せてしまうという傾向にありましたが、アグリコネクトさんとは一年を通じて数えきれないほどの話し合いをし、任せるのではなく一緒に業務を行ってきました。こんなにも打ち合わせを繰り返したことは今までない経験でしたね。
予定調和ではなく、お互いにプロジェクトに必要な取り組みを話し合い、修正をしながら作り上げていけること、当初予定にないことでも対応してもらえたことは嬉しいことでした。
例えば、先ほどのミッション・ビジョン・バリューについても、アグリコネクトさんにワークショップを実施していただき形にしてもらったのですが、話し合いの中で、農業技師たちが方向性の違いを感じていることを伝えると、柔軟に修正をしてもらえて、自分たちが納得できるものができあがりました。


リニューアルプランは市議会からも高評価。

森田 様:リニューアルプラン策定については、市議会議員の方たちに報告させていただきまして、「ワークショップを開き、みんなで意見を交えじっくり時間をかけてミッション・ビジョン・バリューを作成したという点がよい」との声をいただきました。今後の農政センターが期待されていることを実感できました。

佐々木 様:アグリコネクトさんは皆さんが「熱い」んですよね。農業の知見も豊富ですし、農政センターのスタッフからは、宮崎の視察がとてもよかったと聞いています。アグリコネクトさんが視察先を調整して、スマート農業がテーマの農業視察を行いました。テーマ外ではありましたが、新規就農の支援についても学びがあったと言っていました。


ほかの自治体にも広げていきたい。

森田 様:今回、リニューアルとしてミッション・ビジョン・バリューというプランを策定しましたが、行政はあまりそういうことをやらないので、千葉市はこういう取り組みをしました、ということを広く伝えていきたいですね。他市町村の皆様からも千葉市の取り組みに興味を持っていただけたら具体的にどうしたのか情報交換を行い、お互いに連携していけるのではないかと思っています。

佐々木 様:アグリコネクトさんは全国各地で農業経営塾を受託しているので、その知見なども今後連携していけるといいのではと思っています。