AGRICONNECT Co.,Ltd.

大分県から日本の農業の変革を発信していきたい

2022年11月17日農家・農業法人向け事例

クライアント情報

シセイ・アグリ株式会社
代表取締役社長 衞藤 勲様

1977年に前身の有限会社衞藤産業創立。当初は自動車整備業、堆肥の製造・販売を主業務とし、土作り・リサイクルの一貫として産業廃棄物処理も営んでいた。
2001年に農業を開始し、白ネギ、ショウガ、ハクサイ、キャベツなどを生産。事業内容の見直しをする中で、2015年に社名をシセイ・アグリ株式会社に変更するとともに、農業に特化した会社となった。

2022年は新制シセイ・アグリ元年。

2022年5月に父の代からやっていた堆肥の事業をクローズし、農業に特化した会社としてやっていくことになりました。周年で白ネギを20ha栽培しているほか、大分県と一緒に水田の事業化を行っています。リサイクル事業は継続し、自社・他社の車の管理のために整備工場も引き続き行っていますが、それは農業事業のバックアップとしてのものです。
僕自身は、大学の造園学部を卒業後、造園業に従事しました。日産グループの造園企業に勤めていたときには、日産のテストコースを作ったり、社長が昼食を食べる部屋の庭を手入れしたりもしていました。30歳のときに大分に戻ってきて、衞藤産業の業務を見直したんですが、今後、堆肥は伸びないと思いました。
大分県豊後市は、「大分県の野菜畑」と言われるくらい畑が豊富なので、今後、事業展開していくなら農業だろうと考え、今に至ります。
シセイ・アグリという社名は、大好きな吉田松陰の名言『至誠にして動かざるものは、未だこれ有らざるなり』を意識しているのですが、目標をもって進むことから「志」、自分のまっすぐな性格から「誠」で、目標をもって正しい努力を重ねていく会社という意味をもっています。それだけじゃ弱いので、「4つのシセイ」という標語も自分でつくりました。

4つのシセイ

  • 至誠 価値ある目標に向かって前進し、段階を踏んで成果を積み上げていくこと
  • 資生 常識にとらわれず常に新しいアイデアを創出し、仕事に活かしていくこと
  • 姿勢 一人の誠実な人間として、地域社会や人の為になる仕事をしていくこと
  • 市井 地域農業の発展の泉となり、多くの人や情報が集う組織になっていくこと

社名がシセイ・アグリに変わってから7年ですが、事業内容をさらに見直して、アグリコネクト株式会社(以下、アグリコネクト)にコンサルティングを依頼した2022年がシセイ・アグリ元年だと思っています。

アグリコネクトとの出会い

農業法人協会さんが主催している「次世代農業サミット」というイベントが開催されているのですが、もともとそういった催しが好きだったこともあり、2017年の第1回目に参加しました。次世代農業サミットの内容が充実していておもしろく、アグリコネクトさんが担当していたときはずっと参加していました。
そこで熊本さんや木原さん、そのほかのアグリコネクトの方たちとの関係ができました。それ以来ずっとつながりはあったのですが、「トッパン・フォームズさんとコントラクター業務を始めるから参加しませんか」と誘いを受けたんです。
自分も以前から「農業ゼネコン」という概念を提唱していたこともあり、コントラクターのプロジェクトに加わることになりました。そこから3年、アグリコネクトさんとの関係性は深くなっています。

コントラクター業務についてはトッパン・フォームズ様の事例をご参照ください。
https://agri-connect.co.jp/case/toppan/

「農業ゼネコン」という考え方

農業人口が減り、農業の大型化が必至とされている中で、大規模に農業経営をするにはどうしたらいいのかと考えたとき、大工にたとえてみたんです。今の農業は一軒家を建てる大工が多くて、個々は優秀でもビルを建てるのは難しいという状況です。大きなビルを建てるのはゼネコンが担うのと同じように、大規模農場を経営するなら、ゼネコンみたいな存在が全てを統合して管理していく必要があるんじゃないかと思います。機械を持っているとか、基礎が得意とか、設計に長けているとか、鉄筋なら任せろとか、細部にわたって分業することで、大きなビルが建てられますよね。
農業も一人大工でやっていく時代はすでに終わっており、地域をまとめる農業ゼネコンがあって、その中で個人農家それぞれが分業された仕事で生計を立てられる、というのが理想なのではないかと思っています。
わかりやすくいうと農業をゼネコン化して、うまくアウトソースを活用しながら、全員が経営を成り立たせていけるような農業の仕組みづくりが大切なのではということです。

コントラクターとネギ産出額100億円プロジェクト

大分県では、2021年からネギ生産事業者を支援する新規事業を開始し、2023年にネギ産出額100億円を目指しています。
コントラクターの仕組みは、白ネギの栽培に有効だろうということで、現在、どの作業がコントラクターに適しているのか検討し、ヘクタール規模で栽培している農業法人に作業を依頼し、個人農家で実証試験をしているところです。

このプロジェクトの中で、個人農家が白ネギの面積を拡大したり、今まで白ネギを作付けしたことのない人が栽培を始めたりしていていました。ですが、やはり面積を急激に大きくするには個人の力だけでは難しく、ここにコントラクターの仕組みはぴったりはまるのかもしれないと。
ただ、コントラクターに関しては、コミュニケーションの部分で問題も抱えています。機械作業のみ請け負うつもりで現場に行ったとき、それ以外の作業を農家さんが自分たちで終わらせておいてくれないと、うまく機能できないまま終わってしまいます。ここをうまく回すにはどうしたらいいのか、というのがこれからの課題だと思っています。
アナログでのコミュニケーションは限界があるので、そこをトッパン・フォームズさんがシステム化を進めることで解決できることを期待しています。

まずこのコントラクターの仕組みで実例をつくっていかないと、単なる作業委託だって思われてしまう。そうじゃなくて、個々の経営をよりよくするためのコントラクターだと伝えたいんです。日本の農家って自分の手で作業することが正しいと思われている節があるんですが、極端に言えば、自分で作ることが馬鹿らしいって思えるようになるといいなと。こんなことまで自分でやる必要はない、ここはプロに任せて、その分自分は経営に力を入れるとか、余分な投資はしないとか。
白ネギも結構投資の多い作物なので、自分で機械を買わずに、コントラクターに頼んだほうがいい、と農家さんの考え方を変えていく仕組みが伝われば、コントラクターも普及すると思います。

アグリコネクトにコンサルティングも依頼

2022年5月から、アグリコネクトさんにはコンサルティングをお願いしています。財務的に弱いところをどう解決するか、資金繰りから入って、チームづくりや今後の事業展開について一緒に話をしながら進めているところです。アグリコネクトさんに作ってもらったPL(損益計算書)が僕には作れないレベルのもので、それがわずか3カ月でできたことに驚きました。そこに自分なりに入力していったときに、おかしいところに気づいてくれる目線があるので助かっています。今まで僕一人の考えでやってきたのを、さまざまな視点から意見をもらえるようになって、気づきが増えました。

アグリコネクトのような会社にしたい

アグリコネクトさんは僕からするとあこがれです。アグリコネクトさんとは、熊本さん、前田さん、木原さんのトップ3以外にもいろいろな方とやりとりしていますが、皆さん素晴らしくて、アグリコネクトさんみたいな会社をつくりたいって思うようになりました。
会社をなんのために経営するのかという理念に対して、それぞれのスタッフがやるべきことをきちんと理解して進めています。それに、休暇の取り方も大切だということにも気づかされました。うちはなかなか従業員に休みをとらせることができずにいましたが、アグリコネクトの皆さんがしっかり休暇をとることでパフォーマンスを高めているのを見て、農業法人であっても時代に合った組織にしていかなければいけないと考えています。

この先の10年、農業は変革期です。
世界の流れから見ると本当に日本の農業は遅れているので、これを変えていこうということを大分から発信したい。僕は現場での物作りを通して、アグリコネクトさんには情報収集などを担ってもらって、お互いの強みを活かしながら一緒に進んでいけたらいいなと思っています。