AGRICONNECT Co.,Ltd.

アグリビジネス新規事業創出事例(TOPPANエッジ株式会社様)

2022年06月30日企業向け事例

適切な方向に導いてくれる
頼もしい伴走者

クライアント情報

TOPPANエッジ株式会社(旧称:トッパン・フォームズ株式会社)

ご担当者様

TOPPANエッジ株式会社(旧称:トッパン・フォームズ株式会社)
執行役員 新事業開発本部長 鳥越 秀様


事業内容

トッパン・フォームズ様は凸版印刷株式会社のグループ会社。主業務は印刷、特に個人ごとにカスタマイズした印刷物を届けることだ。1955年の創立以来「情報」を核とした「インフォメーション領域」で培ってきた強みを活かしつつ、近年はデジタル領域にも力を入れ、スマートフォンでの共通手続きプラットフォームや業務プロセス改善に向けた可視化や再設計といったDX推進のためのBPM(ビジネスプロセスマネジメント)ソリューションの提供なども行う。アナログとデジタルのハイブリッドで事業を展開できることがトッパン・フォームズ様の醍醐味だ。
昨年、人手の足りない農家と、農作業代行を行うコントラクターとのマッチングサービスの新規事業をアグリコネクト株式会社(以下アグリコネクト)の支援のもと立ち上げ、展開を開始した。

信頼のおける農業スペシャリスト。

トッパン・フォームズの主事業はデータプリントなどの印刷関連ですが、時代の流れに対応してビジネス領域を拡大していく必要を認識しています。そこで、新しい事業ドメインに進出しようという目的で、フロンティア本部(現在の新事業開発本部)を立ち上げ、これまでに数本の新事業を立ち上げました。その中の一つが農業支援のためのマッチングサービスです。
新事業を企画する中で、ビジョンとして掲げていたのは「社会課題を見つけて、我々が問題解決のために提供できるものがないか」を考えることでした。つまり、もともと農業に参入しようと動き始めたわけではありません。
5年ほど前、社内でビジネスアイデアコンテストを実施した中で、実家が農家だという社員から農機具シェアリングの事業提案がありました。フロンティア本部で評価したところ「農業従事者の高齢化が進み、労働力の不足ゆえに所有している農地を半分休耕にせざるを得ないなどの状況が発生しており、食糧自給率などの社会課題に繋がっている」と思われました。
その後、本部で事業化を引き取り、検討を始めましたが、我々は、農作業そのものの経験はなく、知見もありません。そこで、いい農業コンサルタントを探していたとき、関西農業WEEKでアグリコネクトさんのお話を聞くことができました。
事例などの詳細をお聞きし、正に我々が求めている分野のコンサルタント会社であり、ここなら新事業の展開に真摯に向かい合っていただけるのではないか、と思われたためご支援をお願いしたという流れです。

話し合いを重ね、より良いビジネス創出。

我々は当初、農機具のシェアリング事業を考えていました。アグリコネクトさんと具体的に話を進めるようになり、その案を提示したら、「農機具のシェアリングが多くの農家に受け入れられ、農業革命につながるかというと、それは難しい」ということをはっきり言ってくださいました。ここでNGを出していただいたので、早い段階で方向転換ができました。そして、我々に忖度することなくダメなものはダメと言ってくれたことは、印象に残るエピソードとなっています。
アグリコネクトさんから、ほかの方向性も考えたほうがいいということで、いくつか海外事例や農業を取り巻く状況などを調査していただき、一緒にアイデアも出し合って、その中からコントラクターマッチングサービスの事業をやっていく方向性を定めました。
アグリコネクトさんが事業案の評価をするのでも、一方的に事業案を出してくるのでもなく、お互いに案を出し合って、「これは見立てが違うのでは」「こっちの方向性がいいのでは」という話し合いを重ねた結果、我々が納得できる形でスタートを切ることになったのです。

トッパン・フォームズならではの業務サポート。

トッパン・フォームズは、農業分野以外でのお客様の作業代行、アウトソーシング受託の実績は非常に多く積んできています。代行と言っても、単にお客様が行っている作業をそのまま踏襲するのではなく、BPMという考え方を採用しています。これは作業工程を細分化し、それぞれの工程でかかる工数やコストを把握したうえで、どう再構築したら全体最適ができるかを検討する手法です。これにより、単なる作業の請負ではなく、より効率のいい形での支援を実現しています。
今回のコントラクターマッチングサービスでも同じ手法を用いています。一般農家の農作業を1年間見学させていただき、データ収集と分析を行って、それぞれの工程での負荷や条件等をデータベース化するところから始めました。そうすることで、この農地条件だったらこの工程にこの農業法人が持っているノウハウや農機具をあてはめると効率がよくなるということを提案します。
このように、考え方としてはトッパン・フォームズがこれまで行ってきた手法をそのまま転用できるのですが、いかんせん我々は農業分野の知見を全く持っていません。そのため、アグリコネクトさんのコネクションを大いに活用させていただきました。例えば、我々も各自治体とのお付き合いが他の事業ではあるのですが、農業の担当者には面識がありません。アグリコネクトさんと一緒に自治体やJA、農家のところを回ると、どこでも懇意にしている様子がうかがえて、農業支援を広く行っているコンサルタントは違うな、と感心させられました。

末永く協業したい農業コンサルタント。

今回のプロジェクトの目指すところは、農家と支援する農業法人がそれぞれに登録し、受託と委託の条件から自動的に最適解を提案してマッチングするシステムを構築することです。現在、システム化については既に初期バージョンの開発に着手しており、収穫等で繁忙期となる2022年の秋リリースを目指しています。
現場の農家がタブレットを使って「この農地で、この工程、この作業がネックになっている」といった具合に入力していくと、「このコントラクターのこの機械とこの手法での作業に依頼したほうが、作業負荷が下がるだけでなく、むしろ作付けを増やせて売り上げがあがりますよ」、とお勧めするイメージです。例えば農家が、新しく農機を購入しようかと考えていても、それよりもむしろ安くできる、効率よく進められるというシミュレーション結果まで提示できるような仕組みづくりを計画しています。
2021年10月に大分県を皮切りにスモールスタートし、約半年で宮崎県も合わせて10軒ほどの農家にコントラクターマッチングサービスをご利用いただきました。受託側の農業法人も、コントラクターとして3団体の登録がありご活躍いただいています。その結果はVOC(Voice of customer)として収集し、今後の本格的な稼働に向けて活用しています。
2022年度は九州全域でサービスを展開し、その後山陰地方、中国地方、四国地方と拡大予定です。もちろん、いずれは全国でこのサービスを使っていただくことが目標です。

アグリコネクトさんには、今後も農業関係の方のご紹介をお願いしたい。我々の事業の方向性は間違っていないと確信していますが、企画段階からのように、今後も引き続きサービス拡張のために伴走していただければありがたいと思っています。これからも忌憚なきご意見をいただいて、軌道修正しながら進める予定です。
さらに、我々のチームは現在のところ少人数でやっているので、どうしても現場の農家を視察に行くなどの要員が足りません。その部分のフォローも期待しています。
システムが稼働開始したらそこで終わりの関係ではなく、その先もアグリコネクトさんとはいい関係を築いていけるだろうと思っています。