アグリビジネス新規事業創出事例(富士通様)
技量・度量・覚悟をもって、
大義を胸に、共に進み続ける。
クライアント情報
富士通株式会社様
ご担当者様
株式会社スマートアグリカルチャー磐田
代表取締役社長 須藤 毅様
事業内容
静岡県磐田市で、農業を基点とした地域創生(強い農業の実現、新たな地域基幹産業の創造、地域ブランド化)を目指し、富士通株式会社、オリックス株式会社、株式会社増田採種場の共同出資によって発足したのが「SAC iWATA(サーク・イワタ)/株式会社スマートアグリカルチャー磐田」。総面積8.5haの敷地では、ICTを活かした高度な栽培技術で、ケール、パプリカ、ほうれんそうなどの栄養価の高い機能性作物の大規模生産に取り組んでいる。
無色透明、新しいコンサルタント。
富士通がアグリ分野へもっと深く踏み込みたいと考えていた時、ある方に「ぜひお会いした方がいい」とご紹介いただいたのが、アグリコネクト株式会社(以下アグリコネクト)さんでした。お話しした第一印象は『無色透明』。先入観がない、ほかの会社や団体の考えに染まっていない印象を受けました。コンサルティング側に型があり過ぎてしまうと、我々が型の中におさまらないといけないので、少し困るんです。アグリコネクトさんにも多くの実績があると思いますが、その過去事例に引っ張られず、私たちに合った提案をしてくれたことはありがたかったですね。
また、アグリ分野は特殊領域ですから、大手企業の一部門でなく、アグリ分野専門のコンサルタントという専門性の深さも決め手の一つになりました。うちにとっては全方位的に新しい領域でしたので、誰かの力を借りないと次のステップに進めないと感じていた時期でした。アグリコネクトさんは専門性が深く、実態に取り組んでおられたことがとても良かった。理屈ではなく、実務的に一番ふさわしいと感じました。とはいえ、最初は、少し胡散臭いなとも思いました(笑)。出会った当時、代表が若いのに妙に貫禄があったからでしょうね。業界の重鎮と会話されているのを見ても、落ち着いていましたね。また、アグリコネクトの人はとても素直な人たちです。従順という意味ではなく、素直に聞いて、受け入れる。私たちに対してだけでなく、きっと誰に対しても、何に対してもそうなのだと思います。
「人」としての価値を買っている。
アグリコネクトさんとの出会いと同じ頃、磐田市から農を起点とした新たな産業づくりを模索しているということでご相談をいただきました。そこで早速アグリコネクトさんにも加わっていただき「SAC iWATA」のプロジェクトを立ち上げました。それぞれの立場で市の地域課題や農業界が抱える課題に向き合い、それらを解決する事業のあり方、モデルを何度も模索しながらつくり上げていきました。その際アグリコネクトさんには、社会課題や食農課題、事業性を見据えた事業として何をやるべきか、なぜやるべきかをゼロから組み上げていただきました。思い返せば、何度この磐田の地に足を運んでいただいたことでしょうか。構想から約3年という年月を経て「SAC iWATA」は立ち上がり、現在では地域で増加する耕作放棄地や未利用農地に新たな価値を創出するシンボリックなモデル事例になっています。
これまでアグリコネクトさんにはたくさんの無茶振りをしてきたと思いますが、どの出来事も本当に印象深いです。私がアグリコネクトさんから買っている価値は『人』。人間という物理的なものでなく、技量・度量・覚悟、そして、人と人とのつながりです。テクニックや過去実績に、お金を払っているつもりはあまりありません。特に、プロジェクトを進めていく中では、「どうしたらいいだろう?」ということが次々と出てくるのですが、その度に壁打ち相手になってもらえたのはありがたかった。例えば「手続きをどうしたらいいか」「土地の所有者や地権者がこのようなことを話している」など、ネガティブで愚痴めいた相談が出てくることもあります。そんな答えのない相談に対しても「**町だとこうでしたから、***ではないですか」と応じてくれる。経験と度胸に加えて、少し肩の力を抜いているからこそできることだと感じます。「こんな試算してください」「事例を調べてください」というのは、もちろん期待以上を出してくれます。それに加えて、プロジェクトを立てる意味からすると、愚痴は愚痴としてビジネス的に議論ができるのは大きな価値と感じます。アグリコネクトさんは「コンサルタント会社」ではないんですよね。事柄を想像し、つくるという、プロデュースに軸を置いていますので、私たちのように物事をつくりたかったプロジェクト領域ではシンパシーが湧きやすかったと思います。
大義を、考えられるかどうか。
アグリビジネスは、人にとって身近だと感じます。否定されにくい実感がありますね。世界最古の産業の一つですから、自分の本業とは違う世界だなと感じます。アグリビジネスを行う際に、自社がもっている経営リソースと農業との掛け算を普通は考えると思います。我々も、システム領域とアグリビジネスの掛け算を単純に考えました。しかし、間違いではありませんが、掛け算をしてもあまりいい答えが出ない可能性が高い。農業と自社以外に、人の幸せ、街の発展、地球の維持など、もう一つ何かの掛け合わせが必要です。あとは、短期的な儲けだけに走らないこと。「経営体力≒お金」という意味だけでなく、理念を持ち続けるだけの我慢が必要です。私はそれを「大義」と呼んでいます。その大義には、別の業種・業態の民間企業や国、自治体も含まれると思います。どの大義をもって誰とやるか。正解・不正解ではなく、やり続けられる大義がどこにあるか。それを考えることが大切です。企業は我慢がききませんので、2-3年で利益の回収にかかろうとしがちです。しかし、大義がしっかりあれば、会社としても続けやすく、複数の企業でやるなら大義がみんなを引っ張っていく。アグリコネクトさんとは、一緒に大義をつくっていけたと思っています。
アグリコネクトさんには、調べ物やドキュメントの整理をお願いするだけではもったいない。実業への参入をプロジェクトとして考えている方や、型にこだわらない方がアグリコネクトさんの良さを引き出せると思います。