事業再生事例
クライアント情報
大手エネルギー会社D社
従業員数: 約10,000人
期間: 3カ月
プロジェクト背景
数年前より自社の最新のエネルギー技術を搭載した大規模施設園芸を開始し、果菜類の生産を中心に展開。初期投資が大きくかかり、当初計画から大きく実績が乖離したこともあり、ランニングも収量が安定しないため、赤字幅が改善されない状況が続いており、このまま継続して収支が改善できる見込みがあるのかを見極めたいというところからプロジェクトが開始した。
実施フロー
- 自社内の課題分析
- ベンチマーク農業法人との比較分析
- マーケット分析
- 改善シナリオの策定
- 改善へ向けたアクション支援
概要
1. 自社内の課題分析
現状の生産事業を続けていく中に未来はあるのか確認するため自社内部の現状分析を行った。まず、マネジメント面の課題抽出のため、経営層から農場長、パート・アルバイトまですべてにヒアリングを行い、方針や理念、目標に向けたマネジメント、モチベーションの課題はないかを確認。続いて、生産面での課題抽出のため、どのコストが問題になっているかについてPLの確認をした。また、生産計画に対して実際の生産にギャップがないか確認するため、収量や出荷量などを整理した。
加えて、営業や商流での課題抽出のため、営業体制や商流構築を確認し、ロスの発生や販路開拓が進まない原因を分析した。
2. ベンチマーク農業法人との比較分析
農業界でのネットワークを活かし、同程度の経営規模で利益を出している農業法人にヒアリングを実施し、人材配置や人件費、生産に関わる反収や燃料費などのコスト構造を比較した。そこから、他社に比べて優れている点と改善が可能な点を洗い出していき、改善することでどこまで立て直せる見込みがあるのかを確認した。
3. マーケット分析
今回の品目の場合は、市場×季節によってマーケットの量・単価・品質を確認し、ビジネス機会を見極めた。また、市場が出している定量データに加え、消費に近い実需での販売状況も把握するため、自社が販売している価格帯や訴求内容の商品について店頭調査とヒアリングを実施し、今後の販売拡大の可能性があるのか、受容性評価を行った。
4. 改善シナリオの策定
1~3を行う中で3つの改善オプションの可能性が示唆され、それぞれに対するメリット・デメリット、必要な改善内容を整理し、改善することによるインパクトのシミュレーションを行った。合わせて、自助努力での改善以外の選択肢として外部資本の受け入れも検討し、10個のパターンに対する対応を提示した。
5. 改善へ向けたアクション支援
改善シナリオを受けて、販路開拓、生産技術支援として先進農業者とのコーディネート、社内人材評価のための人事面談などを行った。
成果
ベンチマーク農業法人との比較分析により、短期間で不採算の要因を特定し、改善すべき目標水準、改善シナリオを複数提示したこと。改善に向けては、優良農業法人の現場を学ぶ機会を提供し、早期に改善イメージをつけたこと。プロジェクト後は改善シナリオの1つを選択し、先進農業者とのコーディネートを実施。