AGRICONNECT Co.

農業経営塾

2021年02月08日官公庁・自治体向け事例

クライアント情報

京都府様


プロジェクト背景

高齢化に伴う農業者の減少が進んでおり、新たに地域農業を支える担い手の育成が必要となっている。平成24年度、若手農業経営者の経営力向上を目的とした人材育成事業の構想を進め、京都府農業人材育成アクションプラン委員会が発足。研修カリキュラムなどを検討・作成する。(アグリコネクト代表 熊本が専門委員として参加)
平成25年度「京都府若手農業経営者アカデミー」が開講。初年度のみ当社が運営を行う。以降、アカデミーのカリキュラムを基に、若手農業者を対象とした経営セミナーを実施してきた。令和元年度から府内の若手農家の意見を踏まえ事業内容を再検討し新たな経営研修事業の実施に至る。

【課題】

農業経営者の育成

  • セミナーによって経営の専門的知識が得られるものの、経営状況がそれぞれ違う受講者にとって、経営に直ちに活用することが難しい。
  • 講義によってセミナー講師が変わるため、カリキュラム全体を通した塾生の成長や学びを導くことができない、とりわけ地域を担う次世代の経営者としての責任感や使命感の醸成が難しい。
  • 研修期間中は経営について学ぶ意識が生まれるが、修了後に継続しない。

農業法人における従業員の人材育成

  • 経営者の右腕となり、生産や経営を任せることのできる従業員がいないため、経営者の業務負担が大きい。
  • 一方で、経営者自身が従業員として育成された経験を有しておらず、従業員の育成の仕方がわからない。
  • 従業員は業務の大半が生産作業であり、経営者との意識の共有もあまり行われないため、キャリアの将来像が描きにくい。
  • 社員である従業員に対し、パート従業員の多くが年長者となるため、作業指示などの組織マネジメントについて自信を持って行うことができない。

実施フロー

  1. 農業経営者を育成するためのカリキュラム策定
  2. カリキュラムの狙いに適した講師の手配(当社の経営コンサルタントも登壇)
  3. 講座の事前準備(講師との事前MTG、会場手配、参加者出欠確認、資料作成・印刷)
  4. 講座の運営(司会・進行・ファシリテート)
  5. 各回で実施するワークショップのファシリテート
  6. 各塾生の個別経営相談への対応
  7. 経営計画策定のフォローアップ
  8. アンケートの実施・集計など

概要

【農業経営塾】

  • 京都府内の各地域を牽引するリーダーを育成することを目的とした研修カリキュラムを作成。
  • 全10回の集合研修と視察研修に加え、受講者個別の経営相談や事業計画作成の支援を実施した。
  • すべての講座で当社のコンサルタントが専任講師として登壇し、塾生の経営状況や学びの深さに応じたアドバイスや講座内容の調整を行った。
  • 農業経営に特化した士業者を招聘し、財務や労務といった専門知識に関する講義を実施。また、全国の著名な農業経営者を招聘し、その経営哲学や戦略についての講演を実施した。
  • 講義や講演に加え、各講座ではグループディスカッションを多く取り入れ、考えを整理し発信するトレーニングの機会を提供。また、多くのケーススタディーを出題することで、自ら考え答えを出す能力と受講者同士の仲間意識を醸成した。
  • 講座と講座の間の期間に細かい課題を設定し、常に経営と向き合い学ぶ意識、習慣づけを行った。
  • 全講座を通じて、受講者が経営者として真に実現したい理念や目標を見出し、実効性のある計画に反映するため、当社の経営コンサルタントが全講座にわたりサポートを行った。
  • また、自らの営農する地域農業の将来やあるべき姿と向き合わせることで地域のリーダーとしての意識や責任感を培った。

【リーダー養成研修】

  • 農業経営塾とは別コースとして、農業法人の従業員を対象とした研修を実施。
  • 従業員として目指す将来像の具体化や、それに向けた課題・習得事項の抽出を自ら行った。
  • 組織マネジメントの手法やリーダー論について、ワークショップを交えながら学び、農場のリーダーとしての能力向上を図った。
  • 研修内では経営者へのインタビューを課題とし、経営者の受講者に対する思いや望んでいる将来の役割の共有を行った。

成果

【農業経営塾】

  • 卒塾生後も塾生同士の交流が続いており、経営に関する情報共有や学びを自発的に行っている。
  • 卒塾生の多くが、京都府下の各地域の代表的若手農家となっており、売上や経営規模の向上がみられる。
  • 同品目の塾生同士が連携し販売会社を設立するなど、塾生同士の新たなビジネスが生まれている。
  • 各地域の後輩や仲間に対し経営と向き合うことの重要性を発信し、新たな塾生の紹介やほかの研修への誘導につながっている。

【リーダー養成研修】

  • 農業法人の従業員として、自ら考え業務を行う人材が多く生まれる。
  • 研修へ派遣した経営者から、ほかの従業員も受講させたい旨の要望が多く寄せられた。

クライアントからの声

一人ひとりの経営に向き合い、未来への意志を育てる

京都府 農業会議 山下 道弘様

農業経営塾では、毎回講義だけでなく、受講者同士のディスカッションの時間が設けられ、普段なかなか口にすることのない思いを語り合って気づきや刺激が生まれる場になりました。アグリコネクトさんが、その場で出た意見をまとめてくださるのですが、決して「こうあるべき」とは言いません。農業経営者を特別視せず、ほかのビジネスの経営者同様自分で判断したり、情報を探しにいく姿勢が必要だということを教える。それがアグリコネクトさんのスタイルです。だからこそ、まずは経営者としての心構えを受講生に身につけてもらうために「自らの意志を持つこと」をとても大切にされていた印象があります。正直なところ、就農してまだ日が浅い農業経営者にとっては、厳しい現実を突きつけられる場面もあったかもしれません。しかし、一人も欠けることなく卒塾を迎えられたのは、アグリコネクトさんが受講生一人ひとりの経営に向き合い最後まで導いてくださったおかげです。そして何より、みんなの成功を願うアグリコネクトさんの純粋な気持ちが受講者に伝わっていたのだと思います。
私自身、20年ほど前にこの研修を受けていたら人生が変わっていたかもしれません。研修の最後に一人ひとりが自ら計画をまとめていくのですが、その中で「何のために農業がやりたいのか」を突き詰めていきます。そうするとみんな「自分だけが儲けたい」という気持ちは吹き飛び、従業員のため、社会のためという気持ちが自然と芽生えてくるんです。こうして目的から考え、未来を描くことができたことは、受講生にとって人生の大きな転機にもなったのではないでしょうか。研修後もバラバラになるのはもったいないということで、自主的にグループ活動を続けています。こうした絆も受講生の財産になっています。