AGRICONNECT Co.

海外アグリビジネス事例

2021年02月08日企業向け事例

クライアント情報

大手通信会社C社


プロジェクト背景

C社は、日本で農業ビジネスに参入しており、その中で培った種苗の育種や栽培技術を海外へ展開できないか検討していた。種苗の栽培最適地を発掘し、最適なマーケットへ展開。その後は、知財ビジネスとして展開したい思いがあった。そこで、本業で進出しており、今後も成長が見込まれるアジア、特にベトナムを中心とした農業事業づくりを開始。しかし、そもそもアジアの農業界にどのような課題があるのか、どのような事業機会があり、自社の参入可能性があるのかがわからない状態であった。


実施フロー

  1. アジア・ベトナムにおける食農課題と事業機会の抽出
  2. 事業仮説の構想と現地政府・農家・有力企業との関係構築
  3. ビジネスモデルづくり/現地パートナーの発掘

概要

1. アジア・ベトナムにおける食農課題と事業機会の抽出

まず、アジア・ベトナムにおける食農課題と事業機会の抽出を行った。特定の国の農業界に関する情報をすべて追っていても事実でしかなく、情報量も多いためいくら時間があっても事業機会を見出すことは困難。そこで、経済発展が進む中で食や消費が今後どのように変化するのか将来予測を行い、現在とのギャップからこれからの農業生産に必要な要素、生産地から消費地までの物流・加工・保存に生じる課題を見出した。
具体的には、実際の消費者の食生活や生活スタイルを把握するため、「どういう部屋で」「どんな時間を過ごし」「何にお金をつかっているのか」などのライフスタイル調査をしたり、農作物の収穫から店頭に並ぶまでの過程を、前日の夜から早朝まで追跡し、農場から消費者に届くまでに生じる課題の抽出を実施。
その上で、C社の技術が活きる事業分野の仮説づくりを行い、現地の金融機関や農業者、実需企業のネットワークを活用して、種苗から消費現場までをみて、事業仮説の検証や現場に即した新たな事業機会を見出した。

ポイント

  • 未来予測から事業仮説を見出し、仮説に沿って情報収集をすることで、不必要に時間をかけずに検討を進めることができる
  • 自社の技術で解決できること×現地の課題から事業機会を検討する
  • フードチェーンの中で、課題が生じている箇所/課題が生じる可能性がある箇所を発見することが事業機会の発見につながる

2. 事業仮説の構想と現地政府・農家・有力企業との関係構築

検討した事業機会に活用可能な、C社が貢献できる技術(品種、栽培技術、ビジネスモデル)の整理を行い、事業モデルイメージの具体化を進めた。
また、現地政府(投資局、農務省)、農家連盟、自治体トップなどへの事業提案を通じて良好な関係を構築し、事業立地やプレイヤーの紹介など事業開発に必要な構成要素をひとつずつ組み上げていった。現地政府へ向けた日本技術の活用可能性を提示した結果、事業に強い関心を持っていただきアドバイザー契約(MOU)を締結。政府との関係を構築することができ、現地の有力企業や一等農地を優先的に紹介していただいた。また、現地農家との関係性構築のため、農家グループや組合を対象に農業経営の勉強会を実施。

ポイント

  • 「自社ができること」から事業モデルを発想するのではなく、「国の発展」「業界の発展」「農家の発展」に貢献できる事業構想を描くこと、また、それぞれの立場に則した事業提案を行うことで現地ネットワークを構築することができる(ベトナムにおいては現地政府と農業事業のアドバイスをするMOU契約を結んでいる)
  • 各組織へ事業提案を行う際は、中長期的に実現したいビジョンやモデルまで仕立て上げ、相手の関心や意向をつくり出すことが大事である

3. ビジネスモデルづくり/現地パートナーの発掘

現地有力パートナー企業とコンセンサスをとりながら、事業モデルをつくり込む。そのために、地域有力農業法人、物流企業、加工企業、実需企業、公的研究機関などと事業トライアルを実施。事業トライアルでは、新しいフードチェーンを組み、事業モデルのつくり込みを行った。

ポイント

  • フードチェーン全体を巻き込んだ事業開発を行う(特にアジアの場合は、生産事業のみ変革しても「物流インフラが整備されていない」「農作物に規格がなく、仕入れ基準もない」など生産以外での課題が多く、消費価値が下がり、生産で生み出した価値をエンドユーザーまで届けることが難しい)
  • 新規事業を共に実施するパートナーにふさわしいプレイヤーの見極めを行う

事業計画の具体化、組織体制の構築のための現地人材の採用、実需開拓を支援している。


成果

国・地域の農産業づくりのビジョン/事業構想を描き、現地政府・自治体と深い関係を構築。現地の良質なパートナー、優良農事業開発用地の紹介を優先的に受ける状態をつくりあげた。
食農ビジネスに必要な上流(種苗)生産、物流、実需のパートナー発掘、座組みづくりを推進しビジネス開始可能な状態を半年でつくり上げた。