財務分析・人材育成などの経営テーマを、本気で議論し合う
クライアント情報
株式会社Tedy(茨城県水戸市)
専務取締役 林 大地 様
茨城県水戸市で、パプリカを中心にリーフレタスやマイクロリーフなどの栽培・販売、ライムやベリーの試験栽培を行っている。そのほかに農産物の加工やコンサルティング業務にも携わる。会社設立は2000年。日本でのパプリカ栽培の先駆者ともいえる企業で、「パプリカといえばTedy」といわれるようなブランド力を目指す。近年は規模を拡大し、現在建設中の温室が完成すると栽培面積は3.5ha、従業員数も35名になる予定。
アグリコネクト株式会社(以下アグリコネクト)が主宰するAC経営研究会(以下AC研)の会員。
AC経営研究会
https://agri-connect.co.jp/business/agriculture/#study
アグリコネクトの企画だから、楽しいに違いない。
アグリコネクトさんとの出会いは6~7年前、知人が社長の熊本さんと常務の木原さんを連れて弊社を訪問されました。当時、アグリコネクトさんはとある大手ITメーカーさんと協同でパプリカの温室の案件を手掛けていて、国内のパプリカ栽培の事業者の事例を探していらしたようです。国内でパプリカを栽培している農家はまだ少ないので、つてをたどっていたら弊社に当たったということだったのだと思います。
最初の出会いのあと、何かイベントや出張などがあると声をかけていただきました。「韓国にパプリカの温室を視察に行くんだけれど、一緒に行きますか?」と声をかけてくださったのがアグリコネクトさんに会った2回目です。熊本さん、前田さん、木原さんと同行したのですが、それがアグリコネクトさんとの付き合いが深くなったきっかけになっています。
ある日、電話がかかってきて「全国の若手を集めて勉強会を開くから参加しませんか?」と誘われました。それがAC研でした。アグリコネクトさんに誘われて参加したイベントや視察はいつでも勉強になるし楽しい。だから、AC研も楽しいに違いないと確信し、迷うことなく参加を決めました。
参加者全員が互いに決算書を公開し、財務分析。
弊社は施設園芸という農業の分野なので、あまり露地栽培を行う農業とのかかわりがありません。けれども、AC研に参加したことで、全国の自分たちとは異なる農業をしている人たちと知り合うことができた。これがAC研で得た中で最も大きなことです。
参加メンバーは皆さん気さくで、何か困っていることがあると気軽に相談に乗ってくださいます。お聞きした方がその内容に詳しくないときは「あの人に聞くといいですよ」ということを教えてくださいます。
2022年4月にAC研で視察に行ったのですが、視察先で学んだだけにとどまらず、帰りのバスの中では自然とメンバーとディスカッションになりました。
AC研に参加する前、ほかの農業関係のイベントや勉強会にも参加しましたが、いずれも単発か短期間での開催でしたので、AC研のメンバー同士のような関係を築けることはなかったですね。メンバー同士は、AC研の勉強会以外のところでも交流があって、県内の人なら直接行き来するし、県外のメンバーとはメールや電話でやりとりをしています。
AC研のユニークな活動として、参加者が各々決算書を公開して財務分析するというものがあります。こんなことをする勉強会はほかにはまずありません。お互いに決算書を見せ合うことで気づきもあるし、ほかの会社さんの決算書を見て、例えば施設園芸を行っている弊社が露地栽培に参入したら……といったシミュレーションもできます。それによって、露地栽培に踏み切るべきかとどまるべきかの判断もできますよね。
他に印象に残っているのは、日本成長投資アライアンスさんの講演時に、投資先の事例としてさつまいも問屋を営んでいるポテトかいつかさんが紹介され、ファンドを利用して会社を大きくしたという話です。ファンドというと、大きな企業や勢いのあるベンチャー企業のものという思い込みがあったのですが、農業分野でも利用されているということが新鮮でした。自分のところも企業拡大する際に選択肢として考えてみてもいいのかもしれない、という気づきになりました。
どこの農家も抱える人材の問題。
AC研では人材育成チェックリストというのがあって、人材育成などが自分のところはどこまで達成できていて、次回までにここを目標にしよう、といった振り返りができます。自分の会社を客観的に確認できるうえに、ほかのメンバーとも比較することでお尻を叩かれている気になり、刺激になります。社内でうまくいかなかったことがあったら、ほかのメンバーの状況を参考にやり方を変えることもできました。
人材育成の問題はどこの農家も抱えることのようで、AC研でもよく話題にあがります。従業員に効率よく作業をしてもらうにはどうしたらいいのか、次のステップに進んでもらうにはどんな教育が必要なのか、など。AC研の人材育成チェックリストで全て解決できるわけではないのですが、大切なポイントを絞り込むのにとても有用でした。
また、他社さんの働き方を参考にして、休日数を増やす、就業規則を変える、賃金テーブルを作成する、キャリアマップを描くということもできました。
弊社の従業員は20~50代で、外国人研修生もいますから、それぞれに求める働き方も考え方も違います。両者の要望をバランスよく叶えるのが難しいところでした。
これを解決するヒントになったのが、サイボウズの話でした。従業員をひとくくりに考えるのではなく、一人ひとりに合わせた働きやすい環境を作るという内容です。
ほかに、国内視察で行った、障がい者を多く雇っている京丸園さん。指示を出すほうが「これで分かるだろう」と決めつけるのではなく、指示を受ける側の立場から本当にその指示の出し方で分かるのかを考えてみる、というのは、非常に参考になりました。
アグリコネクトが提唱するファームデザイン&ディベロップメント。
農場開発の話で、ファームデザイン&ディベロップメントという手法や考え方を学べたのも貴重な体験でした。
ファームデザイン&ディベロップメントというのはアグリコネクトさんが作った言葉だということです。農場を開発するときに自分本位に考えずに、農業を地域産業としてとらえ、その地域に根ざした環境作りの一部として考えます。自治体や企業も巻き込み、地域の未来をつくる中で生み出していくという開発方法です。
AC研で事業を起こしてみたい。
AC研は現在紹介制になっていて、アグリコネクトさんがどういう審査をなさるのかは分かりませんが、このインタビュー記事をご覧になった方がもし興味持ったら、一度アグリコネクトさんにお問い合せいただければと思います。そして、みんなで仲良くやっていければ嬉しいです。
20代30代の農業者で、地域に同世代が少なく話が合わないという葛藤をもっている方には特におすすめしたいです。各地に仲間が増えると、私たちも各地に視察に行ったり新しい勉強をしたりという機会になりますから。
AC研は、回を追うごとにメンバー数が増えてきているので、メンバーみんなでできる事業ができたらいいんじゃないかと思っています。具体的な案があるわけではないのですが、アグリコネクトさんは大きな企業との繋がりもありますし、新たに農業参入したい企業があったらAC研のメンバーのところに研修に来ていただき、研修費などを得るといった事業ができないかと漠然と考えています。
それから、AC研はハードルが高いという方のためにほかの形式での勉強会があってもいいのかもしれないですね。ステージごとの勉強会があれば、その中で話の合う人ができるのではないでしょうか。
株式会社Tedy
https://www.tedy.jp/
茨城県水戸市小吹町236-1
AC経営研究会
https://agri-connect.co.jp/business/agriculture/#study